乙女はお姉さまに恋してる 第5話 「真夜中の教会(チャペル)」
瑞穂ちゃんを新しいお姉さまとすることになった一子ちゃん。となると、やっぱりこれは知っておいてもらわないと…。
まりや「実は瑞穂ちゃんって、男の子なの!」
瑞穂「ちょ、ちょっと、まりや!」
一子「はい?」
まりや「うんうん、まあそういう反応だよね。わかるわかる。ということでっ…!」
そう言ってまりやは瑞穂ちゃんのスカートをめくった!
まりや「どう?一子ちゃん。これでわかった?」
瑞穂「どどどど、どうじゃない!突然何するのさ!」
まりや「だって一子ちゃん、これからずっと瑞穂ちゃんのそばにいるんだよ。バレないとでも思ったの?」
さすがの一子ちゃんもこれには驚きの表情。だがすぐにいつもの調子を取り戻し…
一子「すごいですすごいですすごいです!お姉さま~!ということはということはということは、お姉さまはお姉さまなのに男の方なんですね!そうなんですねそうなんですねそうに決まりです~!素敵ですお姉さま、つまりつまりお姉さまはお姉さまなのに男の方で、お姉さまでいながらにしてお嫁さんがもらえるってことですよね!」
瑞穂「お嫁さん!?」
一子「そうですお嫁さんです!私をお姉さまお嫁さんにしてください!」
瑞穂「ええっ!?」
一子「お姉さま~!お姉さまお姉さまお姉さまお姉さまー!」
一子ちゃんはかつてのお姉さまと女の子同士であるがゆえに結婚できず、「お姉さまが男の方だったら」と思っていたので、まさに瑞穂ちゃんは理想のお姉さまというわけですね。
それからすっかり寮の一員として溶け込んだ一子ちゃん。幽霊なのに全然幽霊っぽくないし、むしろ寮が明るくなったとみんなも喜んでいた。
けど、瑞穂ちゃんは気になっていた。一子ちゃんのお姉さまってどんな人?
瑞穂ちゃんは一子ちゃんに話を聞く。
きっかけは、一子ちゃんが遅刻しそうになって急いでいたところ、お姉さまにぶつかってしまったことだった。
謝る一子ちゃんに、お姉さまは「大丈夫、遅刻した程度で世界が滅んだりしませんよ。」と優しくしてくれた。
それから一子ちゃんの気持ちはお姉さま一直線。お姉さまはひだまりのように優しく、一子ちゃんが落ち込んだ時にはいつも、テラスの木陰で頭をなでてくれたという。
実は瑞穂ちゃんにも似たような思い出があった。小さい頃、木陰でお母さまになでてもらった思い出が…。
瑞穂ちゃんによく似ていたというお姉さま、そしてその思い出、これは――。
瑞穂ちゃんは歴代のエルダーについて調べてみる。するとやっぱりそうだった。
瑞穂「今僕は、母さまの通った学院で学んでいる…。この道は母さまが通った道、そして、母さまが過ごした部屋。だからお祖父様は、僕にこの部屋を…。」
それから寮に帰ってみると、一子ちゃんが泣いていた。
また何十年も眠ってしまって、お姉さまがいなくなってしまったらと思うと怖くなったという。
その夜、瑞穂ちゃんは一子ちゃんを連れてお散歩へ。
一子ちゃんは寮の外には出られないはずだが、瑞穂ちゃんと手をつないでいれば出られるようだ。
瑞穂ちゃんは本当のお姉さまがしてあげられなかったことをしてあげたいと、一子ちゃんを抱いて、教会へ…。
一子「夢だったんです。ここで誓いのキスをして、お姉さまのお嫁さんになることが。」
瑞穂ちゃんは、一子ちゃんを抱きしめてなでてあげる。
一子「気持ちいい…私のお姉さまも、よくこうしてくれました。」
瑞穂「そう…私のお母さまもよく、こうしてくれたわ。」
一子「えっ?」
瑞穂「これが、幼い私に残された、母さまの記憶。そして、あなたのお姉さまの記憶。」
一子「それじゃあ、瑞穂お姉さまは、幸穂お姉さまの…。」
さらに瑞穂ちゃんは、一子ちゃんのおでこにキスも。
すると、何やら一子ちゃんの様子が…
一子「お姉さま、なんだかお迎えが来たみたいです…。」
瑞穂「お迎え?」
一子「はい。なんだか心がスーッと軽くなって、私の望みが叶ったからかもしれませんね…。」
瑞穂「一子ちゃん…!」
一子「そのまま!そのままで私を見送って下さい。お姉さま、今の私は感謝の気持ちでいっぱいです。瑞穂お姉さまにも、幸穂お姉さまにも…。」
瑞穂「一子ちゃんも、私の母さまのこと、22年間も想い続けてくれてありがとう。」
一子「お姉さまや、寮の皆さんにも親切にして頂いて…」
瑞穂「一子ちゃんには、母さまの新しい思い出をもらったよ!」
一子ちゃんはお空に帰った…
と思いきや、寮に戻ると普通にいました。
どうやらまだまだ、瑞穂ちゃんから離れたくないみたいです。
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