乙女はお姉さまに恋してる 第3話 「おとめが乙女を選ぶ時」
すっかり学園中がエルダー選挙の話で持ち切りに。
瑞穂ちゃんのクラスはほとんどが瑞穂ちゃんに投票するようだ。
瑞穂「はぁ、どうしよう…。」
紫苑「あら、よろしいんじゃないかしら。自分のクラスからエルダーが出るということは、皆さんにとっても名誉なことですから。」
瑞穂「皆さんの気持ちは嬉しいですけど、そもそも私が候補になること自体がおかしくないですか?だって私は…。」
紫苑「それもよろしいんじゃないでしょうか?」
瑞穂「え?」
紫苑「今はっきりと言えることは、ただ1つ、宮小路瑞穂は、間違いなくエルダーにふさわしいということですわ。」
瑞穂「そ、そんな、紫苑さんまで…。」
選挙の行方は瑞穂ちゃんと貴子の2人に絞られてきた。
まりや達瑞穂派は、貴子に負けまいと友達に瑞穂ちゃんの素敵なエピソードを広めて回っていた。
友達はそれに感動したらしいけど…一体何を…。
一方生徒会の人達も、貴子をエルダーにしたく投票のお願いをしていた。
そしていよいよ、決戦の日―。
その結果は、なんと82%もの得票で瑞穂ちゃんが選ばれた!
瑞穂ちゃん「えっ、うそ…だって今、82%って…。」
まりや「それだけみんなが支持したってことよ。やったわね、瑞穂ちゃん!」
奏「おめでとうございます、瑞穂お姉さま!」
由佳里「瑞穂お姉さま!」
瑞穂ちゃんは壇上に上がり、新エルダーとしての挨拶をしようとする。
ところが、ここで貴子も壇上に上がってきて、そのマイクを奪ってこう言い出した。
貴子「このエルダーシスターの制度は、我が校の伝統を受け継ぐ者を選出するはず。それを人気投票として取り違え、転入して間もない生徒が、たまたま容姿端麗であるというだけで祭り上げられている今回の選挙、このような事は伝統ある我が校のエルダー制度に対して、あまりに屈辱的ではありませんか?」
貴子「あなたには申し訳ないけど、ここは譲るわけにはいきません。」
瑞穂「貴子さん…。」
しかし、これには紫苑様も黙ってられなかった。
紫苑「お待ちなさい!」
紫苑「貴子さん。今のわたくしに発言権などありませんけど、無礼をお許しいただけるかしら?」
貴子「あ、はい…」
紫苑「ありがとう。」
紫苑「皆さん、確かにエルダー制度は、我が学院において、伝統をもって尊ばれてきた制度です。それは代々のエルダーが、理想の女性を体現してきたたゆまぬ努力の結果であると言えると思います。残念ながら、わたしくはその歴史に泥を塗ってしまいました。ですが、だからこそ言わせて頂きます。エルダーの資格は複雑なものではありません。その原動力は生徒の自主的推薦であり、それにともなう承継です。大事なことは、ここにいる瑞穂さんが絶大な支持を得たという、一点の事実のみ!それこそが、皆の承継となるエルダーの本質であり、また唯一の必須条件ではないでしょうか。」
この言葉に、会場からは拍手が。
ところが、どうも紫苑様の様子がおかしい。息も荒くなっているようだ。
紫苑「認めて…頂けませんか…貴子さん…」
貴子「紫苑さ…」
そう言ったところで、紫苑様は倒れてしまった。
会場がざわめく中、瑞穂ちゃんは一心不乱に紫苑様に駆け寄る。
瑞穂「紫苑さん!紫苑さん!」
そして瑞穂ちゃんは、紫苑様を抱きかかえて走りだした。
客席の真ん中を颯爽と駆けていき、紫苑様を保健室へ…。
保険医に診てもらったところ、幸い紫苑様は少し安静にしていれば大丈夫なようだ。
紫苑「ごめんなさい、なんだか恥ずかしいわ。わたくし昔から身体が弱くて。それなのに柄にもなくあんなに熱くなってしまって…。かえって迷惑だったかしら。」
瑞穂「そ、そんな…私の方こそ転入以来紫苑さんに甘えてばかりで…。もしかして、随分前からご無理をしていたのではないですか?」
紫苑「でも、まさか抱きかかえられてしまうとは思わなかったわ。やっぱり瑞穂さんは…なのね。」
瑞穂「紫苑さん、今はお身体のことを。」
紫苑「お願い。講堂に戻って。あなたは真実、エルダーになるべき人だと思うの。わたくしは大丈夫。だから、お願い…。」
瑞穂「わかりました。紫苑さんがそこまで言うなら…。」
紫苑「ありがとう…。」
そして瑞穂ちゃんが講堂に戻ると、待っていたのは「キャー!お姉さまー!」という大歓声だった。
由佳里「あんなにカッコイイところを見せられたのでは、もう誰も文句は言えないです~!」
奏「いきなり紫苑様を抱えて走りだしたお姿は、白馬の王子様のようだったのですよ?。」
貴子「これは全校生徒の意思…。わたくしは紫苑様が倒れたことに動揺して何もできなかった。それなのに瑞穂さんは…」
君枝「会長…」
貴子「宮小路瑞穂、なんて不思議な人…。」
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