名探偵コナン「ピアノソナタ『月光』殺人事件」後編 伝説のあの回を旧作・新作比較でみる
以下、当該キャラクターだけに注目して、オチまで知っている方向けにお送りします。
ネタバレが嫌な方はご注意ください。
黒岩村長の検死を行う成実先生。
<旧作>
成実「被害者は死に至ってから数分しかたっていないと思われます。」
<新作>
成実「…以上のことからみて被害者の黒岩村長は死に至ってから数分しかたっていないものと思われます。」
『月光』第二楽章を流していたカセットテープの頭に5分半ほどの空白があったことからも間違いないだろうと目暮警部も判断する。
<新作>
コナンは犯人が残した暗号の謎を解く。
ピアノの鍵盤の端から順にA,B,C…と当てはめることでメッセージになっているのだ。
<旧作>
黒岩村長の現場に残っていた血で書いた楽譜。そのメッセージは「業火の怨念ここに晴らせり」。やはり12年前に死んだ麻生圭二に関連が?
麻生圭二が遺した楽譜があると警官。それを聞いていた成実先生は驚いたような表情…?(新作ではこの時の表情はわからない)
警官が楽譜を探しに公民館の倉庫へ。
だが探している間に、夜も遅くなったからと容疑者たちが帰されてしまった。「ここに晴らせり」とのメッセージからもう殺人は起きないと踏んだようだが、『月光』にはまだ第三楽章が残っている…!
足元にあった楽譜には「遺書」とあり、西本さんが前の2人を殺したのち自殺を図った犯人かと思われた。
だが足元にあるはずの踏み台がない。踏み台もなしに首吊り自殺はできないはずだ。
<旧作>
目暮「まだ意識は戻りませんか…。」
成実「はい、多分脳震とうだと思いますが…。」
<新作>
成実「おそらく脳震とうだと思いますが、診療所できちんと診てみないと…。」
<旧作>
目暮「この島で起きた3つの事件は、手口からみて紛れもなく同一犯です。アリバイが成立した成実医師と黒岩令子さんは容疑者から外れる!」
(このシーンは旧作のみ)
<新作>
コナンは黒岩村長の現場写真から、遺体を退かした後に消えているランプがあることに気づく。
<新作>
そして麻生圭二の遺した楽譜が見つかった。
そこには「我が息子 セイジへ」とあった。
<旧作>
コナン「む、息子…?」
警官「おお、そういえば麻生さんには娘のほかに息子もおったのう。小さい頃に大病を患って病院に入院しとった。確か名前はセイジだったかな。」
コナン「《セイジ…ま、まさか!》」
<新作>
コナン「ねえ、麻生さんが道連れにしたのって奥さんと娘さんだったんじゃ…。」
警官「ああ…そういえば息子もおったのう。小さい頃に大病を患って本土の病院に入院しとったわい。確か名前は…。」
コナン「《セイジ…ま、まさか!》」
<新作>
コナンは、第2の黒岩村長の事件で、床に書かれた血の譜面が乾ききっていたことから、カセットテープのオートリバース機能を使って曲が流れるのを30分以上遅らせたと推理。
消えていたランプはリバースボタンだったのだ。
なお旧作のみだが、「3件とも力を必要とすることから男性」との犯人像も語られていた。
男性は力があって女性はない、というような考えも時代遅れとのことから新作ではカットされたのだろうか。
<新作>
しかし、警察の目を盗んでそのリバースを解除できた人物といえば…まさか…?
<旧作>
コナン(小五郎の声)「そうです!警察以外で死体に近づけたのも、死亡推定時刻を偽れたのも…。」
<新作>
コナン(小五郎の声)「あの時警察以外で遺体に近づけたのも、死亡推定時刻を偽れたのも…」
<旧作>
コナン(小五郎の声)「あの時検死をした成実先生、あなたしかいないんですよ。」
<新作>
コナン(小五郎の声)「あの時検死をした成実先生、あなたしかいないんですよ。」
<新作>
第1の事件で川島さんを溺死させたのは、検死官を本土に帰し(変死の場合ここで検死できない)。第2の事件で検死役になることで死亡推定時刻を偽るため。
<新作>
12年前焼身自殺したとされる麻生圭二は、実は殺害されていた。今回狙われた川島・黒岩村長・西本と、2年前亡くなった亀山の4人によって。
彼らは麻生の海外公演を利用して麻薬を買いつけ取引していた。ところが麻生が「もう協力しない」と言い出したため、4人に殺されてしまったのだ。
このことはすべて麻生から息子への告白文に書いてあった。
<旧作>
コナン(小五郎の声)「彼には東京の病院に入院していた息子がいたんですよ。セイジという名の…。」
蘭「セ、セイジってまさか…。」
コナン(小五郎の声)「成実先生の本当の名前はセイジ。麻生圭二の息子、麻生成実(あそう せいじ)だったんですよ。」
蘭「そ、そんな…。」
コナン(小五郎の声)「浅井というのはおそらく彼の引き取り主の名字でしょう。」
目暮「全ては父親の仇討ちだったというわけか…。」
<新作>
コナン(小五郎の声)「彼の息子・セイジに向けた告白文にね。」
目暮「息子?」
蘭「ちょっと、セイジってまさか…。」
コナン(小五郎の声)「成実先生の本当の名前はセイジ。麻生圭二の息子・麻生成実(あそう せいじ)だったんですよ。」
蘭「そんな…。」
目暮「全ては父親の仇討ちだったのか…。」
<旧作>
刑事「警部!犯人がいません!」
目暮「なに!?ええい!捜せ捜せ!」
<新作>
刑事「け、警部!浅井成実がいません!」
目暮「なに!?ええい!捜せ捜せ!逃がすな!」
おい!このバカ警察!
お前らがちゃんと見てれば…っていうのはどうしても思ってしまいますね。
<旧作>
コナン「《あそこだ…麻生圭二さんの寄贈したピアノがある公民館!》」
<新作>
コナン「《あそこだ…父親のピアノが寄贈されている月影島公民館!》」
<旧作>
成実「終わったよ父さん… ♪ポーン(鍵盤を押す)」
<新作>
成実「終わったよお父さん…何もかも。♪ポーン(鍵盤を押す)」
<旧作>
コナン「ほら、これを見てよ!お父さんの遺したこの楽譜にも書いてあるじゃない!『セイジ、お前だけは真っ当に生きてくれ』ってね!」
<新作>
コナン「お父さんが遺したこの楽譜にも書いてあるじゃない。『セイジ、お前だけは真っ当に生きてくれ』ってね。」
<旧作>
成実「早くそれを知りたかったよ…。」
コナン「これ読んでなかったの?じゃあどうやってお父さんのことを…。」
<新作>
成実「そんな告白文が残ってたんなら、俺がこんなことをする必要はなかったかもな…。」
急にイケボに変わって一人称も「俺」になるのたまりませんね~!
<旧作>
成実「前から父の死に不審を感じていた俺は、医大卒業後、女医師としてこの島に来た。」
<新作>
成実「俺は父があんなことをしたなんて信じられなかったんだ。母と妹を殺して自殺したなんてね。」
<新作>
成実「だから俺は医大を出たあと、真相を探るためにこの島に来たんだ。麻生圭二の息子だとバレないように女医師としてな。」
このウインクしておどろけてみせる様…!
このあたりは最新技術を活かして美しい成実先生を描いてくれてます…!
<旧作>
成実「医師免許には名前の読み方なんて書いてないからな。だけど事情聴取の時は焦ったよ…男だとバレちゃうからな。」
コナン「そうか…だからあの夜、わざと僕たちと夜ふかしして事情聴取の順番を後にしてもらったのか。」
<新作>
成実「医師免許には名前の読み方は書いてないから、誰も疑わなかったよ。」
<旧作>
成実「前村長の亀山に、俺が麻生の息子だと話してやると、急に怯えてペラペラ喋ったよ。」
<新作>
成実「俺が父の死のいきさつを知ったのは、前村長の亀山にこの部屋に呼び出されたときだよ。アイツは俺が麻生圭二の息子だとわかると急に怯えてペラペラ喋り出したんだ。麻薬のこと、暗号のこと、そして父を殺したこと。」
いや、なんで呼び出されたんですかね…?
その理由については実は原作の方では触れられていて、成実先生いわく「スケベそーな男だったからな…」とのこと。亀山!
<旧作>
成実「あのあと、心臓麻痺でポックリ…。葬送曲として父の好きだった『月光』を弾いているときだよ、今回の殺人を思いついたのは。」
<新作>
成実「すべてを話し終えると突然苦しみだし、心臓麻痺でポックリいっちまった…。そのときだよ、今回の殺人を思いついたのは。奴の遺体のそばで葬送曲として父の好きだった『月光』を弾いているときにな。」
<旧作>
成実「ゲホッ、ゲホッゲホッ…」
コナン「セイジさん早く出よう!今ならまだ…」
成実「もう遅いよ…」
<新作>
成実「ゴホッ、ゴホッ…。」
コナン「とにかく早くここを出ようセイジさん!今ならまだ間に合う!」
成実「もう遅いよ…」
<旧作>
成実「俺の手はあの4人と一緒…もう血みどろなんだよ…。」
<新作>
コナン「え?」
成実「俺の手はあの4人と一緒…もう血みどろなんだよ。」
コナンを力技で外に放り出した成実先生。
すると中からピアノの演奏が…。
<旧作>
コナン「これ、暗号だよ…弾いているんだ、あの人が…炎の中で…。」
<新作>
コナン「暗号だよ。弾いてるんだ…あの人が…炎の中で。」
<旧作>
蘭「成実先生、どうして殺人予告出したんだろう?やっぱりお父さんに対する挑戦状だったの?」
コナン「きっと止めてほしかったんだよ。人殺しをするのを。」
蘭「ねえ、成実先生が弾いてた暗号って何だったの?」
コナン「忘れちゃったよ、そんなもん…。」
蘭「あ~その顔は知ってる顔ね!」
<新作>
蘭「でも成実先生、どうしてお父さんに予告状なんて出したんだろう?」
コナン「きっと止めてほしかったんだよ。自分が人殺しをしてしまうのを…。」
蘭「ねえ、成実先生が弾いてた暗号って何だったの?」
コナン「忘れちゃったよ、そんなもん…。」
蘭「あ~、その顔は知ってる顔ね!こら教えなさい!くすぐっちゃうぞ~!」
コナン「ちょっ…や…やめて!」
旧作では島=成実先生の側からみた船。
新作ではコナン達の側から見た島と、視点を変えているんですね。
コナン史上唯一、追い詰めた犯人を死なせてしまったというのが成実先生で、コナンは今もそれを心にとどめて推理をしています。
そのようなコナンファンにとっても重要なターニングポイントの回が男の娘回だなんて素晴らしいんでしょう。といっても旧作放送時の1996年にはまだ「男の娘」という言葉はなかったはずで、当時これをゴールデンタイムに放送したことは大きな出来事だったのではないかと思います。
この名作を1000回記念のリメイクに選んで頂いたこともありがたいことです。これをきっかけにまた令和の時代でも“成実先生沼”にハマる人が出るのではないかと期待しております。
新作は最新の技術でより美麗になり、かつ知った上で見れば男とわかるような骨格。大変そそります。
CVは旧作が折笠愛さん、新作が沢城みゆきさん。変えたことにいろいろ意見もあるでしょうが、どちらも男とわかった後の切り替えにはゾクッとしましたね。新作の方がセリフ回りも含めより“男”を強調しているでしょうか。どちらも心掴まれる演技で甲乙つけがたいものだと思います。
- ▼コメント(0) / トラックバック(0)
-
トラックバック (0件)
コメント (0件)