乙女はお姉さまに恋してる 第9話 「まりやの気持ち」

乙女はお姉さまに恋してる , 2012/08/27 20:59

奏ちゃん主演の演劇も楽しみな学院祭ですが、楽しみはそれだけじゃない。
それは、生徒の投票によって決まる生徒会主催の催し物。今年は「瑞穂ちゃんと貴子さんが共演する姿が見たい」という生徒の声が大きく、2人を中心とした演劇にしたいという。


瑞穂「え、でも…人には向き不向きというものが…。」
由佳里「私も、生徒会室にお願いの手紙を出しちゃいました。」
瑞穂「ゆ、由佳里ちゃん…」
奏「お姉さまの舞台だったら、奏ものすごく見てみたいのですよ。」
瑞穂「奏ちゃんまで…」

瑞穂「芝居か…小学校の時、脇役でも緊張したのに…。主役だなんて無理だよ…」

その小学校の時の役は、木。

瑞穂(小)「ざわわ…ざわわ…ざわわ…ざわわ…」


さらに生徒の総意とあっては無視できないと、貴子さんからも直々に出演をお願いされてしまう。

そしてついに瑞穂ちゃんは演劇へ出演することにした。
同じく主演のプレッシャーを抱えている奏ちゃんと、一緒に頑張ろうと決めたのだ。

瑞穂「2人で不安を半分こしましょう。一緒に頑張りましょうね。」
奏「はい!」

演目は「ロミオとジュリエット」。ロミオ役が瑞穂ちゃんで、ジュリエット役が貴子さん。これも生徒の投票の結果である。しかしその台本は…。

貴子「なぜキスシーンがこんなに多いの!おまけに、ベ、ベ、ベ、ベ…ベッドシーンがあるのよ!

時間がないので演劇部の部長に頼んだというその台本は、とっても濃厚なものになっていたのでした。


貴子「今更新しい台本なんて、到底無理な話…やるしか…ないのよね…。」


その練習をしている教室の前をまりやが通りがかる。
しかしその表情は…あまり良くない。ちょっと怒っている感じにもみえる。

話は、貴子さんが瑞穂ちゃんに劇への出演を頼んだ時に戻る。

まりや「生徒総会の復讐かしら?瑞穂さんをお芝居に引き込んで、舞台で恥をかかせるとか?」
貴子「お姉さまには無理強いはいたしておりません。生徒の代表として、私がお姉さまに出演を依頼したまでです。それに生徒総会の件、別にあなたが喜ぶことでもないでしょう?まりやさん。全てはお姉さまがなさったこと。
まりや「あ…」
貴子「それをまるで、自分が手柄を取ったかのようにはしゃぐ必要はないのではありませんか?
まりや「なっ…!」

そのような事もあって、まりやはドンドン成長していく瑞穂ちゃんの姿に、どこか寂しさを感じていた。
そして、瑞穂ちゃんに冷たく当たるようになってしまう。


朝。いつも一緒に登校しているのに、まりやが見当たらない。
瑞穂ちゃんは心配になり、まりやの部屋へ。するとそこにまりやは居らず、机の上には学院祭でやるプラネタリウムのナレーション原稿があった。
忘れて行ったその原稿を、瑞穂ちゃんはまりやに届けようと追いかける。

まりや「瑞穂さん、何か用?」
瑞穂「え…ええ、最近私も、お芝居とかで忙しくて、あまり話す機会がなかったから…」
まりや「ご機嫌伺いなら結構ですわ。
瑞穂「ちょっと、まりや…」
まりや「放っといて!」


そう言ってまりやは、瑞穂ちゃんの手をはね除けてしまう。これには登校中の生徒達もざわつく。

結局渡せずじまいの原稿。瑞穂ちゃんは早く渡そうと昼休みもまりやを探すが、まりやはそれを避けてしまう…。
まりや「あたし、何してんだろう…」

そして授業も終わり、プラネタリウムの準備。ここでようやく原稿を忘れたことに気付いたまりや。
寮に取りに行こうとしたところで、瑞穂ちゃんとバッタリ。

瑞穂「良かった。会えて。」
まりや「何が?あたしこれから寮に戻らないといけないから。じゃあ。」
瑞穂「戻らなくても大丈夫、これでしょ?本当は、朝渡そうと思ってたんだけど…。」
まりや「それじゃ、ずっと私のこと探してたんだ…。ありがとう…。」
瑞穂「じゃあ、私はお芝居の練習があるから…」


まりや「なんか、逆だよね?
瑞穂「逆?」
まりや「あたしと瑞穂ちゃんのことよ。」
瑞穂「…どうしたの?」
まりや「えっ、いや、なんでもない!じゃあ!」



まりや「逆、か…」
小さい頃はいつもまりやの後を歩いていた瑞穂ちゃん。でも今は立派になったね…。

そんな瑞穂ちゃんの劇の練習。今日はいよいよ、あのシーン。

瑞穂「ではどうか、動かずにいて下さい。祈りのしるしを頂く間だけ。」
小鳥遊 圭(たかなし けい)演劇部部長「はい、そこでキスして。」

圭「どうかしたんですか?」
貴子「あの、お芝居で本当にキスをするんですか?」
瑞穂「そうですよ、圭さんいくらなんでも…」


圭「いいじゃないですか、別に男と女というわけでもないのだし。
瑞穂「(いや、男と女なんだけど…。)」
貴子「あなたが気にしなくても、私達が気にするのです!」
瑞穂「そ、そうです!」
圭「じゃあ、練習中は頬でいいです。」

この後には演劇部の練習も控えており、時間はない。

貴子「わ、わかりました。小鳥遊さんの演劇部にご迷惑をお掛けするのは、筋が違います。お姉さま、お願いします。」
瑞穂「よ、よろしいのですか、貴子さん。」
貴子「は、はい、その…お姉さまもお嫌でしょうが…」
瑞穂「いえ…その…」


瑞穂「ではどうか、動かずにいて下さい。祈りのしるしを頂く間だけ。ごめんなさいね、貴子さん… (チュッ)」


…とキスされた瞬間、貴子さんの顔は真っ赤に。
そしてその場に倒れてしまった。

練習の後、紫苑さんと一緒に帰る瑞穂ちゃん。


紫苑「うふ、それにしてもあんな可愛らしい貴子さん、初めて見ましたわ。
瑞穂「そ、そうですね。」
紫苑「実は貴子さん、瑞穂さんのことお好きなのかもしれませんね。
瑞穂「えっ、ええーっ!」
紫苑「女の子同士で頬にキスをするくらいで、あんなに緊張したりしないと思いますわ。」
瑞穂「じょ、冗談はやめてください…。」

果たして貴子さんの想いは…?貴子さんは、まりやに瑞穂ちゃんについて問う。

貴子「私の敵か味方か、私を助けてみたり、貶めてみたり、まるで万華鏡のように心根のつかめない、あの人の本当の姿を知りたいのです。」

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